TOPへ

アニサキス

アニサキスとは

アニサキスは白色の糸のような形をした寄生虫です。ニュースなどで取り上げられることもあるため、多くの方が聞いたことがあると思います。アニサキスはオキアミと呼ばれるプランクトンを摂取した魚介類から私たち人間に感染します。症状は軽度であればお腹の痛み程度ですが、重度になれば腸閉塞や激しい痛みが出現します。アニサキスは人間の体内に侵入してから1週間程度で死滅するため、症状が全く出ない場合もあります。内視鏡を用いてアニサキスを駆除すればすぐに症状は改善します。駆除できない方にはお薬で症状を和らげられます。

アニサキスの症状

胃アニサキス症

胃アニサキス症はアニサキスが口から侵入し、胃壁に刺さって発症します。感染した後、34時間後に吐き気・嘔吐・上腹部痛などの症状が生じます。アニサキスが胃壁を刺したことそのものではなく、アニサキスと胃壁へのアレルギー反応によってこのような症状が現れます。そのためアニサキスを取り除くことが治療になります。アニサキスが胃に生息していても無症状の場合もあるため、同じものを食べても症状が出ない方もいます。胃カメラ検査でアニサキス虫体を取り除けばすぐに症状が改善するため、胃アニサキス症に対しては速やかに胃カメラ検査を実施します。お電話された時にアニサキスの可能性があるとお申し出ください。院長も発症してつらい痛みを経験しており、できる限り対応させて頂きたく考えておりますので、安心してご相談ください。

腸アニサキス症

アニサキスが口から侵入し、腸を刺すことで腸アニサキス症が発症します。口から入った後、十数時間から数日後に発熱、吐き気、嘔吐、下腹部の激痛などの症状が出現します。頻度は多くないですが、腸穿孔や腸閉塞を発症する場合もあり、その場合は入院での治療となります。

消化器外アニサキス症

腸アニサキス症や胃アニサキス症と比較すると発症が稀な疾患です。口から感染したアニサキスが消化管を突き抜けて腹腔に生息します。その部位によって様々な症状が出現します。

アニサキスアレルギー

アニサキスへのアレルギーです。口から感染した後、意識消失、呼吸不全、血圧低下、蕁麻疹などの症状が出現します。

アニサキスとアナフィラキシー

アナフィラキシーショックは最重症のアレルギーです。日本でのアナフィラキシーショックの原因は多い順に、食物、薬物、アニサキスです。今まで青魚アレルギーだと考えられていても、実際はアニサキスアレルギーだったということはよくあります。原因がよく分からないアナフィラキシーショックを経験した、青魚アレルギーだと信じており青魚を口にできない、などお困りの方は一度アニサキスアレルギーをチェックしましょう。

アニサキスが発見されやすい魚

次のような魚にアニサキスは生息していることが多いです。しかし、これらの魚に寄生しやすいというだけであり、あらゆる魚に寄生している可能性があります。

  • ホッケ
  • タラ
  • イワシ
  • サケ
  • サンマ
  • ホタルイカ
  • イカ
  • サバ(特にシメサバ)

アニサキスの検査・治療

検査

問診した後、胃にアニサキスがいることが疑わしい方は可能な限り、緊急で当日胃カメラ検査を実施します。検査と一緒に除去治療も行えます。胃を通り過ぎて小腸にいることが疑わしい方には、血液検査、レントゲン検査、超音波検査などを実施しますが、胃より先にアニサキスがいると判断するのは難しいです。

治療

胃カメラ検査でアニサキスを見つけたら検査中にそのまま駆除でき、症状も直ちに軽快します。カメラで除去できないケースではお薬で症状を改善させながらいなくなるのを待ちます。現時点ではアニサキスを除去するのに有効なお薬は開発されていません。

アニサキスへの予防

生で海鮮を食べるとアニサキス症を発症する危険性が高くなります。氷点下20℃以下で24時間以上冷凍、もしくは60℃以上で1分以上熱することでアニサキスが絶滅するため、アニサキス症を防ぐにはこのような工程を行いましょう。また、アニサキスは15㎜程度のサイズであり目で確認できるため、食べる際や料理をする際には注意しましょう。アニサキスは魚の内臓に生息しますが、魚が捕まるとすぐに筋肉に寄生部位を変えます。そのため、刺身として食べる際には、新鮮な状態のうちに内臓を除去すればアニサキスに感染するリスクを減らせます。